95 走る阿呆に落ちる阿呆(清春×悠里)



「きーよーはーるーくーんーーー!!」

普通の学校からすれば非日常的な光景だが、この聖帝高校では日常でしかない光景。

それは大きい水鉄砲を持った少年が軽やかに走り、

追いつかないとはわかっていても、それでも濡れた髪を振り乱しながら走る若い女教師。



「今日という今日は諦めないわよ…!」

「いっつも同じ台詞を言ってるなあ、女教師チャン?」

「それでもよ!今日こそお説教!今日こそ補習!!」

「キシシッ。それは追いついてからにシロヨ?」



若いといえども悠里は女の子で、しかも普段から運動をしている訳ではない。

それでもこのCalssXの担任になってからは体力はついてきた…と思う。

が、いかんせん、相手はあの仙道清春。

バスケットで鍛えられた脚力、その天才的といえる人を掻き分け走る能力。

到底敵うものではない。

それ以前の問題として、毎日同じ様に彼のいたずらに引っかかり、毎日水鉄砲を喰らわされるのも正直教師としては情けない…とも思う。



「いい加減にそのイタズラやめなさい!」

「イタズラはオレ様のワイフワークなんだぜえ?」

「ライフワーク!!前と同じ間違いしない!」

走りながらもツッコむ所は流石というべきか。



敵わない…と思いつつそれでも清春を追いかけ廊下を走る。

その時だった。

「きよは…うぎゃあっ。」

追いかける足音と、声がなくなり、代わりに聞こえてきたのは変な悲鳴とゴスっという鈍い音。

思わず清春は足を止めた。

そこにはさっき自分がお見舞いした水鉄砲の水に足をとられて、それこそ頭から転ぶ担任の姿が目に入った。



(ドンクセェなァ)

そう思いつつもあまりに派手な音だったので、心配になりそっと近寄る。

「いったぁ…。」

そう言って立ち上がる悠里の鼻には赤い痣が、

よほど痛かったのか、目には涙がたまり、

自分の水鉄砲で濡れた髪がうなじに張り付き、

濡れた服が微妙に下着のラインを写していた。

その微妙な艶やかさは、聖帝の小悪魔といわれようが、まだ18歳の少年には刺激が強い。

(やっべぇ…。)



その瞬間手を何かにつかまれた。

「清春君。捕まえたわよ…覚悟しなさい!!」

満面の笑みでこういわれれば、何となく負けた気分になる。



こうしてまた清春は彼女に一つ落ちていくのだ。





あとがき

走る阿呆、悠里ちゃん。落ちる阿呆、清春。

初ビタミンですがいかがでしょうか?