79 恋愛最前線





いつだって二人の間には剣があった。

いつだって二人は真剣勝負。





「知盛はいつだって余裕」

「知盛はオンナの扱いに慣れている」

「知盛は私のことなんてどうでもいい」

「知盛は乙女心を理解していない」

「知盛は私の体目当て!」



望美がぐちぐちぐちぐちぐちぐち。

また俺の部屋で言っている。

はじめは「明日の数学当たるの!教えて!」だったはずなのに。

いつの間にか、知盛の愚痴になっている。

譲が作ったマロンパイをほおばり、悶々と愚痴っている。

知盛と付き合い始めてから、一体これは何回目だ?







「兄上は俺よりあいつのことをご存知のようだ…」

「従順な振りして、魔性の女」

「気分屋でわがまま」

「俺の言うことなど全く聞かないのに、兄上のことはよく聞く…」

「いつもお預けをくらわす、とんでもない女」



機嫌が悪いと俺のことをわざと「兄上」呼ばわり。

大体、図書館に行く暇がないから借りて来いと言われ、その本を借りて知盛の家に来た。

そのときにたった一言、「おい…昨日望美と何かあったか…?」と聞いただけなのに。

気づくと俺に嫌味の連発。

余裕そうに笑みを見せてはいるが言っている内容は嫌味でしかない。

望美のことを聞いただけなのに!









そんな二人に一言。

「そのこと本人に言えよ。」

そうすると二人とも



「嫌だ。」



即答





望美「そんなことしたら私が知盛のこと好きでしょうがないみたいじゃない」

知盛「俺があの女に振り回されているみたいじゃないか」



お互い自分のことはわかっているようでわかっていない。

俺からすればまさにその通りなんだが。



だいたい二人とも素直じゃない上に、まともな恋愛をしたことがないから…こうなるんだ。



しかし二人はよく似ている。



最後にしめる台詞は決まって、

「私は」

「俺は」





「あいつには負けたくない。」





*あとがき*

実際はそっくり!

恋はいつだって真剣勝負。