39 甘いものには目がないの
色とりどりのケーキ。
チョコレート、
モンブラン、
ミルフィーユ、
きらきら輝くおもちゃ箱。
甘くて、
おいしくて、
やわらかくて、
幸せな気持ちになるの。
あなたの瞳、
綺麗な髪、
低い声、
ケーキとおんなじ。
何度食べたって全然足りないわ。
つまらなさそうに私を見ている紫の瞳がちくちくと刺さる。
だからと言ってどうすることもできない。
日差しが暖かい土曜日の午後。金曜日までの疲れなんて癒して気持ちを新しくしてくれる。
目の前には大量のケーキの山。
そう、有名ホテルのケーキバイキングが珍しく土曜日にあると聞いたのでいてもたってもいられず来てしまった。
本当は…知盛と来る予定なんかじゃなかったんだけど。
金曜日学校帰りにいつものように知盛の部屋に行ったときのこと。
「明日は用事があるから、今日は早くに帰るね。」
「用事…がっこうのか?」
「ううん、違うよ。」
別に嘘をつくようなことでもないので正直に話した。
「横浜のホテルでケーキバイキングがあるから行こうと思って。知盛甘いの好きじゃないでしょう?だから、譲君と行くことにしたんだ〜。将臣も甘いのは好きじゃないっていうし。」
そこまで話していると知盛に鋭い目で見られていることにようやく気づいた。
「え…何?」
「行く。」
「は?」
「ケーキバイキングとやらにだ。」
「ふうん…え…、ええ??だって知盛…えええええ?!」
あれやこれやと言っているうちに本当にケーキバイキングに知盛と来ることになっていた。
譲君には申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど、あのあと、私の携帯から譲君にお断りのメールが勝手に送られていてどうしようもなかった。
で、しょうがなく知盛といるんだけど。
「知盛…ケーキ食べないの?」
さっきからコーヒーを飲んでいるだけ。
「別に…いらん。」
そんなこと言われると食べづらい…。
更に食べづらい理由がもう一つあって。
それは人の視線。
この通り知盛がケーキを全く食べていないから、どうやら周りの人からすると“彼女が嫌がる彼氏を無理やり連れてきた”ように見えるみたいで、正直いたたまれない。
でも、制限時間は100分。食べなきゃ損!!人の目なんか気にするか!!
それに知盛が食べないならその分食べていかなきゃますます損だ!!
「あ〜お腹いっぱい。」
「そうだろうな…。」
半ばあきれたように知盛が言う。でもそんなの気にしてなんていられない。
「これからどうしようか?折角天気もいいしショッピングでもして行こうか?」
そんな私の声を無視して知盛は私の手を引く。
行き着く先は、併設されているホテルのフロント。
「ちょっと!知盛!!」
「俺は…甘いものが好きじゃない…といった覚えはないぜ?」
「はあ?!」
「心置きなく甘いものを堪能させろ…」
私の腰を抱き部屋へと連行される。
こんなはずじゃなかったのに!
お前の瞳、
柔らかな髪、
美しい声、
ケーキとやらよりずっと甘い。
何度食べても全然満たされない。
*あとがき*
またイチャコラ話…。
きっと知盛はおいしく望美ちゃんを頂いたのでしょう。
ケーキバイキング行きたい…