12 闇鍋はいかが?



「冬だし〜やっぱり鍋だよね〜」

何だかイロイロなものが籠に入っている。

白菜、豚肉、キムチ、豆腐、しらたき、こんにゃく…。

何だかわからないが、どうせこいつが何か作るわけではないのだから…まあ、いいだろう。



今日は知盛の家で将臣と譲も来て食事の予定だった。

有川家の両親が出張ということなので、望美が休日だし夕飯一緒に食べよう!とお誘いしたのだった。

知盛としては二人きりのほうがいいというのが本音だったが、あの兄弟に見せ付けるのも一興…と了承したのだった。



たくさんの食材を買い込み、知盛はそこにひっそり酒を付け加えることを忘れずに(もちろん見つかって怒られたが)帰途に着く。

家に着いたら、将臣がすでに家の前にいた。

「よお、今日はありがとさん。」

「あはは、どうせ作るのは譲君なんだけどね。」

「知盛も久しぶりだな!」

「…よお」

簡単に挨拶をすませて家の中に入る。



「おい、望美、メール鳴ってるぜ!」

食材を冷蔵庫に入れていると、将臣が呼びかけた。

「え?あ、譲君だ。“部活が延びそうなので、少し遅れます”だって。」

「あ〜じゃ、飯の時間が少し遅くなるって事か。」

「…だな。」

ぼんやりとテレビを見ながら知盛と将臣が言う。



「いつも譲君に頼りっぱなしじゃ悪いよね。…よし!今日は私が夕飯を作ろう!!」



知盛と将臣の表情が止まった。



「…おい、少しと言っていたのだし、待っていた方がいいのでは?」

知盛が表情を変えずに忠告する。

「え〜大丈夫だよ。今日はそんなに難しいものじゃないし。」

「何作ってもらう気だったんだ?」

将臣がおそるおそる尋ねる。



「鍋。鍋の素も買ってきたし。」



それなら失敗も少ないだろう…と将臣は思う。

さすがにそんなひどい物はできないだろう。







「先輩、具多くないですか…?」

「すげえ…。」

「何が入っているんだ?」

そこにあったのは男が3人もいるが食べきれない量の鍋だった。

「何って…キムチ鍋だからキムチでしょ。あとは白菜2玉と豆腐2丁でしょ。」

白菜が2玉も入っているのか?

「あと、豚肉と、しらたきと、こんにゃくと、ちくわと、マロニーと、鱈と、蟹と…」

具入れすぎたろう!

「あとは、すいとんも入ってるの。」

すいとん?!

「最後におうどん入れようね。」

誰がそんなに食べるんだ!!



その鍋はいろんな味が混ざっていて、とても微妙な鍋だった。





*あとがき*

白菜2玉はきぬいの実体験です。

鍋からあふれました(笑)。