※注意※

オリジナルのゲームの時間軸ではありえないパラレルワールドです。

登場人物は千鶴、斎藤、沖田、龍之介(ちょっと新八)

場所は新選組屯所(京)

千鶴と龍之介が同じ場所で会話しています。

それでも良いという方はスクロールでどうぞ。





























いざ



それはある日の朝。

道場からは新八の威勢のいい声が聞こえてくる。

そこから少し離れて斎藤は千鶴の指導をしていた。

護身術程度ならある千鶴だが、何かあったときのために、日々稽古をしておくことは重要だ。

そして、千鶴は素直な性格故かすごく覚えがよく、斎藤の言葉から次々吸収していく。そして、日々道場で見取り稽古し、巡察途中で実戦を見たりしてどんどん力をつけていく。



「剣先が下がっているぞ。」

「はい。」

「脇を締めろ。真っ直ぐ振り下ろさなければ力が分散してしまう。」

「はい。」



素振りを見ながら的確な指導をする斎藤に対して、千鶴は一心不乱に研鑽を積む。



「うむ。素振りは綺麗できちんと出来ている。あとはもう少し体力を付けた方がいい。」

「はい。ありがとうございます。」

「いや、こちらこそ、お前みたいに素直だと指導もしやすい。」

「え、そうでしょうか…」

「ああ、中には稽古が嫌で逃げる者もいるからな。しかし、本来なら誰かと試合してみたりして経験を積んだほうが力になるのだが…平隊士ではちょっと心配だし、幹部では差がありすぎる。手加減された試合をしては力にならない。」

「それは、仕方ないですよ。」

こればっかりはどうしょうもないことなので諦めるしかないだろう。

しょうがない、と思いつつ筋があるのだから伸ばしたいとも思ってしまう。何か良い練習法がないか考えてみたが、名案は浮かばなかった。



「なら、彼ならどーぉ?」

のほほんとした声が斎藤の後ろから、正確には部屋の中から聞こえた。言うまでもない。沖田だった。

その後ろには誰かいたが、あいにく斎藤の位置からは柱に隠れて見えなかった。

しかし、千鶴の位置からは見えていたらしい。

「沖田さん!と伊吹さん!」

沖田の後ろには首根っこをがっちり捕まれた伊吹がいた。

「伊吹との試合か……。」

「おい、沖田。俺は剣の修行も鍛練もする気はないぞ!斎藤も真剣に考えるな!」

「伊吹さんと試合なんて、私とは差がありすぎます!」

千鶴もあわてて抗議する。

「えーそうかなぁ。男と女の子の力の差はあっても、それを上回るだけの技術は千鶴ちゃんにあると思うよ。」

「確かに、千鶴はカンがいいからな。」

「確かに剣は力もあったほうがいいけど、それだけじゃないしね。いい勝負だと思うよ。」

さすがにそこまで言われて、龍之介もいい気はしない。むしろ不愉快だ。

「おい、沖田。仮にも雪村は女だろう!女相手に力など出せるか!」

「力なんて出すほどないじゃん。あ、それとも女の子に負けるのが怖いんだ。」

「だれもそんなこといっていない!大体なあ、」

そんな伊吹の抗議も虚しく斎藤は決めた。

「よし、二人で試合をしてみよう。ただし防具は着ける。千鶴よいか?」

「え、伊吹さんが構わないのなら構いませんが…」

「伊吹くん、負けちゃうかもねぇ。」

「誰が負けるか!」

「じゃ伊吹くん、試合をするの決定ね。防具とってくるよ。」

おもしろいことならばすぐ動く沖田総司なのだった。





防具を付けた二人が対峙する。千鶴の声が響く。

「では、参ります!」





二人の対戦の結果は…

「ちょっと、伊吹くん。あんまりじゃない??」

「ここまでとは…。」

沖田、斎藤共にため息をつく。

「あの、伊吹さん。大丈夫ですか?!」

「嘘だろ…。」



「千鶴ちゃんの圧勝とはね。」



はっきりいえば勝負にならなかった。

千鶴は真っ直ぐだが、身軽な分早さがあって、龍之介にはそれに対応出来るだけの反射神経がなかった。そして、手加減ができない千鶴は容赦なく打ち込んでしまうため、こてんばんにされてしまったのだ。



「千鶴ちゃん、これなら多少の暴漢に襲われても退治できるね。保障する。少なくても彼みたいなのには対応できるよ。」

「確かに自分の身なら何とか守れるだろう。」

千鶴は、新選組で一二を争う剣豪の二人にお墨付き得たのだ。自信を持っていいだろう。



それとは対照的に、

「伊吹。これから稽古だ。」

「はあ?!斎藤。何を言いだすんだ?!」

突然の試合だし、こてんばんにやられてしまってショックを受けているし、それよりも体力の限界を感じている龍之介には考えられない発言だった。しかし斎藤は容赦がない。

「何を言いだすじゃない。女性にここまで負けるなんて情けないと思わないのか。」

「う、」

「これから毎朝、千鶴と一緒に鍛練を積んだほうがいい。いや、積むべきだ。」

「い、いや、俺は…」

「毎朝迎えに行くからな。…覚悟しておけ。」

「頑張ってね」



目が真剣な斎藤が怖くてそらすと、ニヤニヤ笑いの沖田と目が合う。



「あの、伊吹さん。一緒に頑張りましょう!」



千鶴の声かけも、龍之介にとっては絶望を与えるものでしかなかった。







あとがき

ほんとは拍手お礼のつもりで書いた作品。

思ったより長かったので、こちらに掲載。

実際の設定では、龍之介と千鶴どっちが強いんでしょうね?