リクエスト内容

(2)京残留捏造ED(大団円)で、重望か知望。重衡・知盛視点で望美と結婚するために自身の身辺整理(女関係)とライバル潰し&外堀固めに余念がない銀髪兄弟で。





結婚秘話



それは底冷えのする冬の日のことだった。

将臣は身も心も冷えわたる台詞を聞くことになる。



「源氏の神子殿と結婚する。」

「はあ?!冗談もほどほどにしろよ。今回のは性質が悪いぜ?」

「冗談でこのようなことを俺が言っていると思うか?」

鋭い視線を向けても将臣はまだ半信半疑だ。

というか全く信じていないに等しい。半分でも信じているならまだよいほうだ。





よく晴れた日のこと。

遊郭では困った噂話が囁かれていた。



「そういえば最近知盛殿来なくなったわね。」

「そうね。あんないい男の上客なかなかいないのに。」

「何か結婚する…って噂があるみたいよ?」

「えー?結婚?あの知盛殿が?もしそうだとしても彼が一人の女にとどまれるような人かしら?」

「いつかはここに戻ってくるわよ。」





内裏では混乱が生じていた。

「知盛殿が結婚ですって。」

「えええええ?!そんな!!だって還内府殿は平家の血は本当は入っていないって言うじゃない。そしたら正当な跡取りは知盛殿でしょう?」

「相手は源氏の神子ですって。」

「はあ?!源氏なんて下賤の女じゃない!」

「それよりおじい様が焦っていたのよ…なぜかしら。」





和議の真っ最中では、

「知盛殿、源氏の神子殿は源氏のものである。なので平家に嫁がせることなどできん。…と、頼朝様からのご命令です。」

と弁慶と景時。

「そうだね…ここで神子殿を手に入れてしまうのは平家側としては得策でないと思うけどね。」

とヒノエこと熊野別当。

「そうじゃ、知盛殿。しかもそれは神子殿の意思なのか?以前わしの目の前で義経殿が婚約している!と宣言しおったぞ?」

と後白河法皇。

普段は全く協力的でないのに、こんなときばかり示し合わせたように知盛の意見に反論する。





内裏に仕える舎人からはこんな噂を耳にする。

「源氏の神子様を見たことがあるか?」

「おおう!何と美しい方だと思ったぞ。」

「見た目だけではない。性格も素敵な方だ。和議を成すくらいの心の優しさがあるのだからな!」

「あの方が嫁さんになってくれたらどんなにいいか…」

「馬鹿。それは高望みにもほどがあるぜ。」





…全く。神子殿を手に入れるのがこれほどに難しいとは…。

しかし、これくらいのほうが手に入れたとき喜びも深くなる。

これは、これは楽しみだ…。

さて、どんな手を使おうか…。





その一:遊郭の女たち



「おや…重衡様。珍しいですね。」

有名な遊郭の女将が妖艶な笑みを浮かべて微笑んでいた。

「お久しぶりです。いや、兄上からご命令がありましてね。」

「兄上…ああ、知盛殿からですか?」

「金は出すから思う存分遊んでこい…とね。一体どういう風の吹き回しですかね。」

次の日。

「重衡様って素敵ですね…。」

「優しくて、あの柔らかな物腰!自分を大切に扱ってくれるあの紳士さ。」

「来る回数が少ないからあまり印象に残っていなかったのですけど。」

「知盛殿も素敵ですが、私は彼の方が素敵だと思いました!!」

「私もです!!」

それから遊郭では知盛の話題より、重衡の話題が花を咲かせていたという。





その2:平家側(将臣)



将臣に報告したところ。

「結婚って何言っているんだ?!本気か?」

「いたって本気だが?」

「大体望美が納得してんのかよ。っていうかいつのまにそういうことになっているんだよ。」

「神子殿の熱烈な求愛を受けてから…だな。」

「熱烈?求愛??本当かそれ…。大体望美ができんのかよ…。」

全く信じていない将臣に対して知盛は余裕そうな笑みを将臣に向けた。



ひっそり忍び込んだ梶原家の屋敷で。

細いわりにしっとりと手になじむ肌が気持ちがよい。

つやつやとし指どおりのよい髪に手をいれその感触を楽しむ。

この肌の感覚がとても心地よいと気づいたのはいつだったか。

何度抱いても、何度触れても、全然足りない。

ふと思い出したように知盛は望美に告げた。

「しばらく会えない」

彼女の動きが止まった。幸せそうに微睡んで、自分の手にほっとしていたのに、一気に体を強張らせた。

彼女の目が「何で」と訴えている。

「兄上にな…」

「将臣君?」

「会うな、と言われた」



どすどすどすどすどすどす

どすどすどすどすどすどす

将臣の屋敷に地鳴りが鳴り響いた。

「ぜーーーたい、離れないから!」

朝ごはんを食べていた将臣は、この望美の全く突然の叫びに思わず吹いた。

「何を言われたって離れないって決めたんだから。」

「まてまてまて!!何のことを言っているんだ?」

「将臣君が言ったんでしょ?!」

何のことだ…と言おうとしてのそのそと現れたやたら無気力な男を見てどういうことか気がついた。

冷静に、落ち着いて、はっきりという。

「おまえら二人だけの問題じゃないだろう?」

「私は好きな人と一緒に居られないような世の中にするつもりで和議をすすめたんじゃない!」

「それはわかってる!でも、時期が悪い!」

そう、今は和議の真っ最中。

それに厄介な伏兵が大量にいる。

「だって、認めてもらうならあいつらを説得しないとな。」

「あいつら?」





その3:源氏方(とヒノエ)



どすどすどすどす

どすどすどすどす



大股で歩く望美を見やり、将臣はひそかに溜息をつく。

本気だ。

彼女はいたって本気だ。

まさかここまで熱愛だとは正直思っていなかった。

もう一人の張本人は涼しい顔をしているのが妙に引っ掛かるが。



ばたん!と、扉をあけ、



どん!と、足をつく。



その場にいた全員が注目する。

「私と知盛を認めてもらいます!」



その場にいたのは、源氏方から弁慶、景時、運の悪いことに九朗。

朝廷方から、後白河法皇。平家方から、経正。

そしてその仲立ちとして熊野統領ことヒノエ。

「さて?姫君は何を言っているのかな?」

にっこりと優しく、しかししたたかにヒノエが微笑んで聞く。

しかし望美はひるまない。

「ヒノエ君。わかって言ってるでしょう?」

「さあ?」

「確かにきちんと説明していただかないとこちらとしても判断に困りますね。」

柔らかく静かに弁慶が聞く。

「全くだ。望美。説明してくれ。」

本当に何もわかっていない九朗が聞く。

景時、経正は大人の余裕か、それとも事態についていけないだけなのかその場をただ見守るだけだ。

「だーかーらー…」

私と知盛が付き合っていることと言おうとして次の言葉が出てこなかった。

理由は簡単。

隣にいた知盛が幾分糖度高めな、つまりは濃厚なキスをしてくれたからだ。

公衆の面前(しかも上皇までいる)、恥も掻き捨て、何でここで、今?!

わけのわからない、パニック状態の望美の頭の中、感覚だけはやたらリアルで。

その口づけに簡単に溶かされてゆく。



「…というわけだ。皆々様、お分かりかな?」

知盛は腰が砕けている望美をしっかりと抱きかかえ、挑発的な視線を皆に向ける。

ここまで濃厚な口づけを見せられては皆声も出ない。

九朗にいたっては顔を真っ赤にして固まっている。

そのまま望美を抱きかかえ外に出た。

後は将臣が後始末をしてくれるだろう…と心のなかで思いながら。

望美が正気に戻ったのはすでに部屋を出て、知盛の馬に乗っているときだった。

「知盛!いきなり何するのよ!!」

「下手な説明よりこっちのほうが威力があるというもの…だろう。」

「だからって!!」

そのイチャイチャぷりは馬の上でのこと。

参内する御家人どもにきっちり見られていた。

密かな恋心を抱いていた彼らは意気消沈することとなる。





その4:望美



それから更に数日後。

「何とか法皇にもお前らのこと認めさせたぞ…。」

息も絶え絶え、不承不承と将臣が二人に告げる。

「やったあ!ありがとう将臣君。」

「で、お前ら住むところとかあるのか?」

は?住む所?一体将臣が何を言っているのかさっぱりわからない。

「一応、京の外れのほうに自分の別邸があるのでな…。」

「そうか…。きちんとお披露目はするのか?」

「…いや。」

「やっぱりそうか。ま、らしいちゃらしいな。」

お披露目…?

「ねえ、ねえ、知盛…将臣君…。」

「望美よかったな〜お前が知盛の所になんて意外だったけど。」

「え…あの…。」

「あ、何だ?早速マリッジブルーか?」

まりっじぶるー…

お披露目…

住む所…。



まさか。



「とーもーもーりー。謀ったわね…。」

にやり、彼のニヒルな笑みが望美の怒りに火をつけた。



が、しかし、法皇にも源氏の皆にも平家の皆にも知らせた手前、二人は結婚することとなる。



(これで心置きなく望美を独占できるな…。)